セッション(その2)

 ヒロパパとエリが東京に行ってから私はお母さんとも話したかった

と言うヒロの言葉が気になってしかたなかった。

何か伝えたいことがあるのかもしれない・・・

その2か月後、私と弟は東京に向かった。


入ると
「昨日から来てますよ」と先生がおっしゃった。

「おかん・・・?」「おかん・・・」って言ってませんでした?

「はい、おかんと言ってました。」呼ぶ時は「おっかぁー」とか・・・

「お父さんの時は少しせっぱつまった感じだったけど、今日はニコニ

コして穏やかな感じですよ。」

私はすごく緊張していて
「お母さん、お茶でも飲んでリラックスして下

さい」

こちら側があまり緊張しているとダメみたい・・・

 
弟の横にずっと寄り添っているヒロ。どんな格好をしていますか? と聞くとユニフォーム着てグローブとバット持ってると言われた。

ヒロパパとエリが先生の所へ訪れた時、野球をやっていると聞いたので、弟はすぐうちにユニフォームを持ってきてくれた。

今は野球をしたり勉強もしていると言っていた。


ヒロからのメッセージが伝えられた。



「おかんはいっつも謝ってばかりいる。もう謝らんで!先に帰天した事は申し訳ないと思ってる。おかんが謝ってばかりいるところ見てると可

哀相で体壊すんじゃないかと心配でこっちが苦しくなるから。

もうわかってるから。おかんは笑った顔の方がいい。おっとーをここに連れてきてくれてありがとう。」
そうなるよう私にはたらきかけたらし

い。そして私がヒロに語りかけ謝っているのはいつも決まって一人車の中。ちゃんと見てるんだ。知ってるんだと思った。

私が泣くとヒロは横で私の頭をヨシヨシしたり肩をトントンとしているそうだ。

「病院でみんな心配していてくれた事も知ってる。

でもだれが悪いわけじゃない。決めてきた事だから。二人の子供に生まれた事を感謝している。

もう一度おっとーに必ず伝えてほしい。いつもおっとーの事思ってるし一人じゃないよ。しょっちゅう行ってるからねって。」


そして弟に・・・「色々相談にのってもらったり嫌な事あっても○○(名前で呼んでいた)といると救われたし安心できた。」 
 


メッセージをありがとう!


 
とにかくヒロは弟の顔見てニコニコ笑って安心している。先生はその絆

の深さに驚ろいたり笑ったりしていた。
「楽しかったね。またキャッチボー

ルやりたいね。ユウ(ヒロの子供)の成長が楽しみ。キャッチボールして

やってね。」
一度だけ間に来たが弟の横にずっといた。

そして親友の智くんからの伝言を伝えた。

「友達でいてくれてありがとう。一緒にいれて楽しかった。これからもよろ

しく!」と・・・ヒロは
「あったりまえじゃん!こっちこそよろしく!」と答えた。

私の姉には
「よく自分の事を想ってくれている。ありがとう。今は全然痛く

ないから大丈夫だよ。心配しないで!大丈夫だからね。」と・・・

仕事で長い間お世話になった大将にメッセージはないか聞くと、先生が


「不思議なんですけど今までユニフォーム着てたのに急にスーツに変わ

ったんですよ」
「大将は厳しかったけど色々学ばせてもらった。おかみち

ゃんには、体に気を付けて。すごくよくしてもらって二人には感謝している。」
と・・・

私達に何かしてほしい事はないか聞いてみた。ヒロは「とにかくみんな仲

良くして!」と何度も言っていた。


「おかん、いっつもそばにいるからね。いっつも見てるからね。そして人

生を全うした時は必ず迎えにいくから。必ずまた会えるから。おかんの

子供でよかった。愛してる。」


そして私は百合の花みたいな人と言ってくれ、百合の花束を

差し出してくれた。もちろん私には見えないが先生に受け取ってあげてと


言われありがたく受け取った。ありがとう・・・

私はヒロが天界へ逝ってからよく左肩がビリビリする。今まで一度もなか

った。その時はヒロが来てくれていると思っている。

そしてそれ以来「ごめんね」を「ありがとう」に変える努力をしている。

ヒロが苦しいなんて可哀相・・・

     いつも笑っててほしいから
   

                    

inserted by FC2 system